終わりを越えたその先も

 ハイランド地方特有の荒涼たる風が吹く中、錆色をした崖に挟まれて、禍々しい紋様の刻まれた巨大な門は未だその場所に聳えている。
 薬師アーフェンは、呆然とそれを見上げていた。半ば締め出されるように出てきた向こうの世界は、確かに人が足を踏み入れるべき場所ではなかった。人智を超えるような出来事が次々に起こり、命の危機にすら晒された──いや、あの門の向こうにいたというだけで、既に自分たちは半分以上死の世界にいたのだ。
 フィニスの門。
 “終わり”の名を冠するその門は、聖火教で伝えられる死の門そのものだった。
 果たして、本当に自分たちはその向こうにいたのだろうか。そんなことすら考えてしまう。しかし、自分たちが追いかけていたクリスと名乗る旅の青年は、今しがた自分たちと別れを告げたのだし、なにより、魔女と黒呪帝との死闘で負った数々の傷が、向こうの世界と今立っている世界が地続きであることを証明している。


「……閉ざされた今も、あからさまに姿を晒して立っている、か。このままでは、また誰かが見つけてしまうかもしれないね」
「ここは終結から八年も経った合戦場跡だ。火事場泥棒も去って久しい頃のはず、滅多なことでは人も来ないだろう」
「ふむ。“これ”を開く手段である竜石がレイヴァース家に無事に保管されている今、当面の心配はないとは思うけれど……とはいえ、やはり正しい知識を広めて二度と開かないように対策を講じなければね」


 辺獄の書から“門”の存在を突き止めた学者サイラスと、この場所で騎士として最後の戦いに身を投じた剣士オルベリクのそんな会話も、今のアーフェンの耳には遠い。彼にとって、門のことは半ばどうでもよかった。それよりも、向こうの世界で揺蕩っていた黒き魂と、その場所に残されていた手記のことで頭がいっぱいだった。
「とにかく、ここでこうしていても仕方ない。そろそろ日も暮れかけているし、近くの街でゆっくり休むことにしないかい?」
 サイラスの言葉に、旅人たちは三々五々、門の前を後にしていく。けれど、アーフェンは最後まで門から目を離せなかった。
 かつて自分の命を救った恩人、名をグラム・クロスフォード。
 彼の残した最後の言葉が、この門の向こうにあったのだから。



「確かめたいことがあるんだ」
 翌朝、エバーホルドの宿の前で旅人たちと再会したアーフェンは、はっきりとそう言った。
 彼の強い眼差しを、連れの七人ははっと真剣な表情で受け止めた。
「トレサ、ハンイット──一緒に来てくれねぇか」
「……!」
 息を飲んだのは、商人トレサだった。彼女は目を真っ赤にしていたけれど、すぐにこくりと頷く。
 トレサは昨夜、仲間たちと杯を共にしながらずっと泣いていたという。彼女もまた、グラムの言葉に助けられ、励まされた人だった。
 そして、もう一人。狩人ハンイットも決然と頷いた。
「ああ、勿論だ。わたしもそうしたいと思っていた」
「そっか。ありがとな」
 アーフェンはいつもと同じ笑顔で礼を言う。けれど、その笑顔にどこか痛々しいものが含まれていたのを、七人はちゃんと分かっていた。
 彼はただひとり、昨夜ささやかに開かれた旅人たちの集いに姿を見せなかった。


 エバーホルドから馬車と徒歩を併用しつつ北上し、ストーンガード方面へ続く分かれ道に行き当たったところで、旅人たちはひとまずの別れを迎えることとなった。
「……本当に、三人だけで大丈夫ですか?」
「大丈夫だって! お前は聖火教会の仕事で忙しくなるんだろ、俺たちのことは気にしないでいい」
「……確かに、そうなんですが……でも」
「その気持ちだけで十分さ。ありがとな、オフィーリア」
「……アーフェン」
「ん? どした、プリムロゼ」
「私に無理をするなって言ったのは、あなたなんだからね」
「……はは、大丈夫だって。ありがとよ、心配してくれて」
「……」
「アーフェン君、何か分かったことがあったら私にも知らせてくれないか」
「おお先生! たぶん、大したことねえけどな」
「そうか。……でも、どんな些細なことでも助けになるかもしれないからね。手紙でも構わないから、頼んだよ」
「ん、分かったぜ。手紙はあんま得意じゃねぇけどよ」
「……おい、アーフェン」
「お? なんだテリオン、珍しいな」
「……いや、何でもない。……気をつけろよ」
「分かってんよ。じゃ、またな」
 アーフェンがそんなやりとりをしている間、トレサとハンイットも、それぞれに仲間たちと別れを告げていた。
 こうして、八人いた一行は半分にまで減った。ここからは起伏ある山道から一転し、荒れた砂の道となる。
 オルベリクはウェルスプリングにいるはずのエアハルトに用があるというので、引き続き旅路を共にすることになっている。


 ここから先、砂の道では馬車は使えない。一行はひたすら徒歩でサンランド地方を旅していった。
 トレサは普段の元気を表面上は取り戻していて、先頭を歩くアーフェンの背中を突っついてからかったり、相変わらず商品になりそうな砂漠の品物を集めたりしていた。オルベリクはいつも通り悠々と一行の殿を守って歩き、たまに襲いくる魔物たちを鋭い剣の一閃で追い払ってくれている。
 一番沈んでいたのは、黙々と雪豹を連れて歩くハンイットだったかもしれない。彼女は度々ため息をついては、口を真一文字に結び直して頭を振っていた。これから確かめようとしている真実にもっとも近しいのは、おそらく彼女だということがあるのだろう。
 そんな連れの様子を振り返りながら、アーフェンは着実に前へ進んでいた。──言い出したのは自分なのだから、俺がしっかりしなけりゃ。もちろん、砂漠の酷暑と寒暖差にみんなの体調が崩れていないかを確認するのも忘れない。
 そうして順調に四人は砂漠を進み、ウェルスプリングへ続く砂道の際で、オルベリクと別れることになった。


「ここでお別れか、オルベリクの旦那とも」
 とある小さな村の、これまた小さな酒場の片隅で、貴重なエールのジョッキを傾けながらアーフェンが笑った。
 一方、オルベリクは真面目な顔でアーフェンに問いかける。
「お前たちは南へ行くのだったか」
「ん? お、おお」
 アーフェンは頷いた。明日も、彼とトレサ、ハンイットは引き続き次の目的地へ向かうつもりだった。今頃トレサとハンイットは明日の旅に備えて早めに就寝しているはずだ。
 返事だけして、何も話さないアーフェンにオルベリクが続けて言った。
「……本当に、お前たちだけで大丈夫か」
「……」
「遠慮をしているのなら、その必要はない。一度死の果てまで共に行ったのだから」
 大袈裟な──本人としては至って真剣なのだろうが──オルベリクの物言いに、アーフェンはむず痒い気持ちで礼を言った。
「ありがとよ。気持ちは嬉しいけど……却って、気ぃ遣っちまいそうだからよ」
「……そうか。お前がそう言うならここは飲もう。……だが」
「ん?」
「俺はしばらくウェルスプリングにいるつもりだ。だから──力が必要になったら、いつでも来い。必ず、手を貸そう」
「……っ」
 アーフェンはぐっとジョッキを握り締めた。きっと、この男は本当にいつまでも待ってくれるつもりなのだろう。目頭が熱くなるのを、アーフェンは懸命に我慢しようとする。ここで泣いてしまったら、本当に気を遣わせてしまうことになりかねない。
「……ありがとな、オルベリクの旦那」
 やっとそれだけ言って、勢いよくジョッキを呷る。
 そんなアーフェンを、オルベリクはすべて分かっていると言わんばかりに、穏やかな表情で眺めていたのだった。


 そして、翌日。


「さて、と。とうとう三人になっちまったな」
 オルベリクと別れたアーフェン、トレサ、ハンイットの三人は、再び砂漠の旅路を行こうとしていた。
「大丈夫かトレサ、またしばらく暑いけどよ」
「平気よ!」
 元気いっぱいの笑顔とともにトレサが親指を立てる。
「結構慣れてきたもの。それに、キツくなったら薬師さんに氷出してもらえばいいし!」
「なんでそこで偉そうなんだよ? ……まぁいいや、しんどくなったらすぐ言えよ。
 んで、ハンイットは? 体調崩してねぇか?」
「ああ、問題ない」
 ハンイットも頷いた。その表情は一時期より随分柔らかいものになっている。続けて、アーフェンは彼女の足元でおとなしく座っている雪豹をわしわし撫でた。
「リンデも平気か〜?」
 砂漠の熱砂に肉球が触れないよう、脚先に布切れを巻いてもらっているリンデはご機嫌にガウ、と鳴いた。このぶんなら大丈夫そうだ。
 そんなやりとりを見ていたハンイットが、ふと呟いた。
「……やっぱり、すごいなアーフェンは」
「お? なんだいきなり」
 脈絡のない褒め言葉に、アーフェンは目を丸くして振り返る。
「わたしは一人ででも行くつもりだったが……お前がいるおかげで、この砂漠の旅路も足取りが必要以上に重くなく済んでいるよ。誘ってくれて助かった」
 いつも実際的なハンイットにしては、珍しくぼかした言い方だった。けれど、褒めてはいるようなので──相変わらずそういう言葉が苦手なアーフェンは、派手に手を振ってみせた。
「? なんかよく分かんねえけど、大したことじゃねーって。ほら、行こうぜ!」
「……ふふっ、あぁ、そうしよう。次はマルサリムだな」



 一行はサンランド地方を南下し、砂漠の都マルサリムを目指す。
 頼れる剣士のオルベリクがいなくなり、旅の連れは三人にまで減ったものの、たまに出くわす魔物はそれでも難なく追い返せていた。
 こんな生き物、“門”の向こうにいた者共と比べればなんてことない──口には出さずとも、三人ともが同じように思っていた。やはり、越える前と後とでは見えている世界そのものが変わっている。
 そうして砂風に晒されること幾晩か、途中に行きあった隊商たちに同行しながらも、彼らは無事にマルサリムへ辿り着いた。
 彼らが最初に訪れた場所は、以前世話になったカリム王のおわす宮殿であった。三人の最終目的地へ行く前に、マルサリム王宮へ報告したいとハンイットが言ったからだ。
 最終目的地とは──グレイサンド遺跡。
 ハンイットが討った怪物“赤目”の、終焉の地である。


「よくぞ来てくれた。久しいな、ハンイット」
 事前の告知なく突然訪問したにもかかわらず、カリム王は快く三人を迎え入れた。
「あぁ、みんな元気にしているか?」
「ええ、この通りにね」
「みんなあなた方のおかげです、ハンイット殿」
 レナード将軍とラルフ副長が請け合う。手早く挨拶を済ませたあとで、ハンイットは早速用件を切り出した。内容を聞いて、カリム王が訝しげに首を傾げる。
「今は魔物も大分減っている。訪れるのはもちろん構わないが……なぜ、今頃?」
「調べたいことがあるからだ。……“赤目”の正体が、分かるかもしれない」
「……なんと」
 並み居る王宮関係者がハンイットの言葉を聞いて一様に目を見張った。王は続けて訊ねる。
「正体、とな? “赤目”とは強力な魔物だとばかり思っていたが……違うのかね?」
「あの後、手がかりが出てきたんだ。確証はないが……大体、見当はついている」
「そして、あの遺跡にも手がかりがあるかもしれない、と」
 王の言葉に、ハンイットは黙って頷いた。
 王はしばらくハンイットの瞳をじっと見つめていたが、やがてため息をつくとこう言った。
「……あい分かった。これは私としても捨て置いてはおけない話だ。ハンイットよ、頼む。調べた結果は我々にも報告してはくれまいか」
「──ああ。必ず」


 こうして、三人はグレイサンド遺跡を再訪したのだった。
 “赤目”がいた時のような異様な気配こそ今はないが、魔物の蠢く息吹はまだあちこちに感じられた。リンデが警戒して唸り声を上げる。
「さ、気合い入れていこーか」
 斧を握り締めた腕の袖をまくって、アーフェンが言う。
「うん!」
「……あぁ」
 トレサとハンイットもまた、気を引き締めて頷いた。
 滅びてから何百年と経過した遺構は、単に時の経過で朽ちたというだけでなく、明らかな破壊の跡があちこちに見受けられた。
 現代のオルステラ大陸からすればオーパーツとも言えるほどの技術で作られた丈夫な建物群、それらをこれほどにまで損壊させるとは──“赤目”の力の強大さを裏付けるようだった。
 しかしまだ、推測の段階だ。“赤目”と、その正体にまつわる力の種類、そしてこの破壊の跡、これらがイコールで繋がる証拠はない。それに遺跡を調べたとしても、確証は出てこないかもしれないのだ。
 それでも、彼らは重い足取りでついに辿り着いた。“赤目”が最期の時を迎えた、遺跡の最深部に。


   ◆


「……ここ、だな」
 その場所を見渡して、ハンイットがため息をついた。
 何かの集会か儀式かに使っていたのかと思われる、砂に半分埋もれた広場。ここが一番遺構の損傷が激しく、折れて倒れた柱があちこちに散らばっている。
「ねえ、アーフェン。本当に何かあると思う?」
 訊ねるトレサの目は、どこか不安げだった。
「……んなもん、探す前からじゃ分かんねえよ。……けど、確かめなきゃ何かあるのかも分かんねぇしな」
「……うん、そうよね」
「お前の目利きにも期待してんだぜ。なんか変なもんあったら教えてくれよな、トレサ」
「わかったわ」
 よっし!と気合を入れ直したトレサが、早速広場の奥へ向かって走った。いつも売り物になりそうな品を集めている時のように、下を向いて隅々まで見逃さないよう探索を始める。
「……。わたしは、別の場所を探すとしよう」
 ハンイットもひとこと呟くと、トレサとは別の方向へ歩き出した。倒れた柱を器用に伝って、容易く“赤目”が最初に姿を現した高台へ登っていく。
 ──確かに、ありゃ俺には真似できねぇな。ハンイットの身のこなしに感心したアーフェンは、トレサと同じく広場を調べ始めた。


 そろそろ風化しつつあったが、マルサリムの兵士たちと“赤目”の戦いの跡はあちこちに見受けられた。石畳に黒く染み付いた血痕を見つけ、アーフェンは思わず目を伏せる。
 石化された者たちは元に戻った。だがその一方で、単純に命を奪われた者たちもいる。わずかな痕跡が淡々と示す事実は、確実に彼の心を抉った。
 “赤目”の正体が、黒き魂の残した手記が示唆する通りなら──それは“彼”にとって、どれだけ残酷な運命だったろうか。
 そうじゃなかったと思いたい。けれど目の前で示された可能性を頭から無視することはとてもできない。それでも、真実を知ることは怖いとも思った。


 だが、真実は皮肉にも、これ以上ないほど明確に。
 彼らの前に、姿を現すのだった。


 最初にアーフェンが感じたのは、小さな違和感だった。
 折れた柱の断面に刻まれているのは、傷か、いやこれは。
(文字、か……?)
 ひどく歪んだ細かい傷の数々は、紛れもなく人の書く文字の形を成している。それが遺構と同じ時代のものではないことがアーフェンにもすぐ分かった。なぜなら、それは現代のオルステラ文字であったからだ。
 動揺のあまり、認識能力が著しく落ちる。ほとんど内容を読み取れないまま、目だけでアーフェンは文字を辿っていたが──とある綴りを見つけた時、予想は確信へと、変わる。


「っ──トレサ、ハンイット!!」


 静かな遺跡に、アーフェンの怒声が木霊した。
「アーフェン!?」
 慌ててトレサが駆けつける。続いてハンイットも柱を伝って戻ってきた。リンデも彼女について走ってくる。
「どうした、何か見つけたのか!?」
「文字だ」
「えっ?」
「……きっと、あの人が書いたもんだ」
「!?」
 呆然と立つアーフェンの両隣から、トレサとハンイットが柱の断面を覗き込み、目を見張った。


 端的に自らの状態を語る言葉。
 苦痛からの救済を求める言葉。
 そして──“彼”と血の繋がっている、クリスという名前。


「……やっぱり、そう……だったのね」
 刻み込まれた文字を真っ先に読み下したトレサが、ぺたんとその場に座り込んでしまった。
 “門”の向こうで読んだ手記が語る事実。そして終焉の地に残されたこのメッセージ。それらを照らし合わせれば、答えはもう、ひとつしかなかった。
「……グラムさん、やっぱり、あなただったのね」
「そう、みてぇ……だな」
 トレサに旅立ちのきっかけを与えた、この世の宝物について記した手記を書いた人物。
 アーフェンが幼い頃に、彼の病を癒し、人生の目標を与えてくれた人物。
 名を、グラム・クロスフォード。この場所に刻まれた文字は、彼のものであること、そして。
「……わたしは」
 目を伏せたハンイットが、低く呟いた。
「今の今まで、グラムさんが……“赤目”であることを、疑っていた。そうではない、と……証拠がないのだから、違うと。……思いたかった。けれど……」
 リンデが喉を鳴らしてハンイットの足元に寄り添う。そんな雪豹の頭に手を乗せることもなく、彼女は震える声で続けた。


「……わたしが、“赤目”の感情を読めなかったのは当然だ。……人間、だったのだからな」
 そして、その“人間”に。
 ──最期の一撃を与えたのは、狩人であるこのわたしだ。


「……っ、アーフェン、トレサ……わたしは、お前たちに、なんと言えば……」
 アーフェンは直ぐ様首を振った。
「何も言わなくていい、ハンイット」
「だが……!」
「やらなきゃ、あんたの師匠は助けらんなかったんだ。そうだろ」
「それは、そうだが……しかし、こんなことが……」
「薬師だって、死ぬよりも苦しいことがありゃ、治療を止めることだって……あんだよ。あの人も苦しんでた、分かってたって、結末はきっと……おんなじだったんだ」
「……っ、本当にそう思って言ってるのか? アーフェン」


 一段と低くなったハンイットの声に、アーフェンは押し黙った。
 ──本当は、分かっていたならば。何がしか出来ることがあったのではないのか。
 手記を読んでしまって以来そう思わなかったことは、なかったからだ。


 やり場のない憤りに、アーフェンは拳を柱にぶつけた。
「……っ、くそ……あぁ、そうだよ。分かってたら、何か方法がなかったか考えただろうさ。たとえ、魔神とやらの呪いが相手でもな。……けど、今となっちゃ、どうにもできねぇ……もう、あの人はいないんだ」
 死んだ者は、二度と生き返ることは無い。
 それは“門”の向こうを目の当たりにした今でも、変わらぬ真理だった。
「……アーフェン……」
「いや、悪ぃハンイット。……あんたは、何も悪くねぇよ」
「そんなこと言ったら、お前だって悪くない。……だから、お前も謝る必要は無い」
「……そ、かな」
「あぁ」
 アーフェンは力なく肩を落とす。一方で、ハンイットが柱の前を離れて歩き出した。ついでリンデが、そしてトレサも、立ち上がって慌てて後を追いかける。
 しかし、すぐにハンイットは足を止めた。そこは、“赤目”が息絶えた場所であった。そこに“彼”のいた痕跡は何一つ──血の跡ですら残ってはいなかったが。
「……死に際は、魔物と変わらないのにな」
「ハンイットさん……」
 それでもただ、その場所に向けて。ハンイットは目を伏せ、かつて人間だったものを悼む。
「……彼は、薬師だった……なのに、その手で……どれだけの命を……」
「……グラムさん」
 ハンイットに倣って、トレサもまたその場所に向けて頭を下げようとした──その時だった。


(……あれ、そういえば)
 この場所で“赤目”と相対していた時。
 彼の取った、奇妙な行動を思い出したのだ。


「ハンイットさん」
「……ん? 何だ、トレサ」
「あのね……あたし、思い出した。必死でみんなで戦ってきた時にね、薬瓶が飛んできたことあったの」
「……?」
「どういうことだ?」
 後から追いかけてきたアーフェンが首を傾げたが、トレサはすっかり興奮した口調で続ける。
「“赤目”がね、薬瓶を投げてきたのよ。……オフィーリアさんが回復魔法唱えようとして、でも瓶にびっくりして止まっちゃって……二人とも、覚えてない?」
 それを聞いて、アーフェンとハンイットが二人で顔を見合わせた。
「……そんなことあったっけな……?」
「わたしも、必死だったからあまり……」
 けれど、トレサには確信があった。ひとりで拳を握り、力強く言う。
「間違いないわ。ひょっとしたら、まだその辺に落ちてるかも?」
「……!」
「……それは、探してみる価値はありそうだな」
 最初に駆け出したのはアーフェンだった。続いてトレサも、戦いの時の記憶を手繰りつつ探し始める。確か、あたしはここで傷を負って、オフィーリアさんが詠唱をしていて──
 果たして、トレサの朧気な記憶通りの場所に、割れた小さな瓶が落ちていた。
「あった……これだわ!」
 すぐにアーフェンとハンイットが駆けつけてくる。二人に向かって、トレサは拾った瓶を掲げてみせた。
「これか……?」
「ね、アーフェンよく見て。これ、あんたがよく使ってる瓶と違うでしょ?」
「……」


 トレサから渡されて、ほとんど感覚のなくなった指でアーフェンは瓶の欠片を受け取った。薬瓶なんて、それこそマルサリムの兵士たちが使っていてもおかしくないものだ。しかし。
 ──一昔前の形をした瓶の口、年月を経て朽ちたラベルに、色褪せてほとんど読めなくなった手書きの文字。
 現在一般的に使用されている、既製品の回復薬ではない。それだけで、確信には十分だった。
「……っ、はは……」
 乾いた笑いが、アーフェンの口から漏れる。
「……あんなになってまで……あんたは、俺たちのこと、気にしてくれてた、ってか……薬師だった、ってのかよ……なぁ」
 とうとう堪えきれなかった涙が、瓶の上に落ちた。
「恩人さんよぉ……あんたって人は、ほんとに……」
 声が震えるのだって、抑えきれやしない。


 たったひとつの薬瓶の意味は、罪滅ぼしか、薬師としての矜恃か、それとも優しさなのか、今や誰にも分かりはしない。
 ただ、“赤目”になっても──自らが死の淵に立っていてもなお、彼はグラム・クロスフォードという人間だった。
 それだけの事実が、何よりもアーフェンの胸に突き刺さった。


「……っ」
 仲間がいるのに、もはや泣いているところを隠しもしない。あとからあとから溢れる激情のまま、アーフェンは止められない涙を流し続ける。
「アーフェン……」
 泣き崩れたアーフェンをトレサが気遣って、ハンカチを差し出してくれる。アーフェンはそれを無言で受けとると、躊躇なく鼻をかんだ。ずび、と場違いな音が大きく響く。
「ちょっ!? 何すんのよばかぁ!」
 あまりの仕打ちに憤慨するトレサだったが、彼女の頬にも既に幾筋もの涙が伝っている。
「……いい人、だったんだな」
 二人の後ろでハンイットが天を仰いだ。その目にもまた、光るものが浮かんでいる。リンデが彼女の足元に寄り添って、くぅ、と小さく鳴いた。
 そうしてグレイサンド遺跡の静寂には暫し、三人の弔いの音だけがささやかに木霊していた。



 三人はその日のうちにマルサリムまで帰ってきた。報告のために再び訪れた王宮では、宴の準備がされていた──というのも、“赤目”が討ち果たされた時にできなかった感謝の宴を、今こそ開こうと王が考えていたからだ。
 そして、宴をすべく三人を迎えてくれた面々の中には、なんとオルベリクもいたのである。
「旦那!? なんであんたがここに……」
「……ふっ、やはり気になったのでな。エアハルトも同意見だった。……しかし、どうやら無事のようだな」
「おう、……まぁな」
「それで、話は聞かせてもらえるのだろうな?」
「ああ、ハンイットが話してくれるさ。とびっきりの語り口でな」


 アーフェンの言葉通り、遺跡の調査結果はハンイットから報告された。ひとりの薬師の歩みから作り出された、残酷で、摩訶不思議な物語がすべて語られた後、皆が自然に頭を垂れて黙祷を捧げた。
「……“赤目”が、人間だったとはな。なんという悲劇だ……」
 ようやく全員が顔を上げた頃、カリム王が重々しく呟いた。
「辛い役目を果たしてくれたな、ハンイット。……改めて、感謝する」
「……そんなことはない」
 ハンイットはため息混じりに首を振る。
「わたしとしては、一番は師匠のためにやったことだ。……それに、ここにいるみんなが助けてくれたからできたこと。それが、結果的にこんな結末を作った、それだけのことだ」
「それでも言わせてくれ、ハンイットよ。我々を救い、そして悲劇の連鎖を止めてくれたこと……私が言うのも違うかもしれないが……それでも、心から礼を言う」
 ハンイットは、王の言葉を受けただ深々と頭を下げた。
「ハンイットの連れの方々にも、心から感謝する。──それにしても、その魔神とやらの脅威は、本当に取り除かれたと思っても良いのかな?」
 王の懸念を聞いて、アーフェンとトレサはちらりとオルベリクに視線をやった。ハンイットも頷いてみせたので、当のオルベリクはむ、と一瞬眉をしかめた。
「……それは当然の懸念かと思われます、王よ」
 仕方ないな、と仲間の視線を受けて、オルベリクは王に向かって答えた。
「今も“フィニスの門”はその場所にありますし、門を開く為に必要な“鍵”もとある場所に現存しております。……“門”に対する策に関しては、我々の仲間のひとりである学者サイラスが研究しているところ。もし王が望まれるのであれば、何がしかの策が出来た暁にはお知らせいたしましょう」
「なるほど、確かにグレイサンド遺跡の歴史を、目を輝かせて聞いていた者がおったな。ぜひ、お願いしたい。……それでは、“門”に関しては後ほど、我々も出来ることはするが……今は彼らの労を、宴で労うことにしようぞ!」


 王の一言で、すっかり準備の済んでいた宴がいよいよ始まる。一行は砂漠の珍しい食べ物に舌鼓を打ち、その夜はマルサリム王宮の一角で安らいだ。
 そして翌日。ウェルスプリングに戻るというエアハルト、コブルストンへ帰るオルベリクと別れた三人は、アーフェンのたっての希望である場所へ旅立ったのだった。


   ◆


 赤茶けた崖の狭間に作られた小さな村は、前に訪れた時と変わらず素朴な雰囲気のままだった。
「はぇ〜、ここまで遠かったわね!」
 クリフランド地方西部、崖下の村オアウェルの入口まで辿り着いた時、トレサは感慨深そうにため息をついた。
「わりぃなトレサ、ハンイット、ここまで付き合って貰っちまってよ」
 アーフェンの苦笑いに、トレサとハンイットが揃って首を振って笑った。
「ううん、大丈夫よ! 行く道々で商売の種は探せるし、アーフェンのしたいことも分かるもの」
「わたしは帰る方向とあまり変わらないしな。……さて、行くとしようか」


 空っ風の吹く中、三人は村の片隅、ルーベの森にほど近い崖の上まで登っていく。そこには、アーフェンの作った小さな墓標が今も立っていた。
「来たぜ、恩人さんよ……って、あら?」
 アーフェンは墓標を見て目を丸くした。そこには誰かが供えたものと思われる花があったからだ。しかも、あまり日が経っていない。
「花……誰が供えてくれたんだ?」
「村の人かなぁ?」
「……オーゲンなんじゃないのか? 彼に縁のある人と言ったら」
「あいつ、んなことすっかな……ま、いいや」
 アーフェンは薬師の鞄を探って、小さな布の包みを取り出した。丁寧に包みを開いていくと、古びた薬瓶の欠片が出てくる。
 “赤目”へ変容し、塵となって消えてしまったグラムの遺した唯一の品を、彼の遺骨の代わりにしようとアーフェンは考えたのだ。
 腰に下げた手斧を使って、墓標の根元に小さな穴を掘り起こす。そして、硝子の欠片を穴の底にそっと置いた。
「……あれ、全部は入れないんだ?」
 ラベルのこびりついた大きな一欠片を包みに残したアーフェンに、トレサが聞く。
「おう。もしクリスにいつか会えたら、渡そうかと思ってな……親父さんの遺品だしよ」
「なるほど」
 穴をそっと埋め戻し、トレサが持ってきたささやかな花束を供えると、三人はじっと目を閉じて頭を垂れた。
 風の音と、森の葉が擦れる音が作る静寂が、しばし墓標のまわりに満ちる。
「……恩人さん……」
 ややあってから、風の音に紛れるような声でアーフェンが呟く。グラムという名前が分かった今でも、彼にとっては変わらず“恩人さん”なのだった。
「あんた、今は穏やかでいられてっかな」
 そうであって欲しい。残酷な運命を遂げて、本物の“終わりの門”を越えた今は、すべてから解放されて安らかでありますように──と、祈るような気持ちで答えのない問いを空へ投げかける。
 だが、答えは意外なところから返ってきた。


「……グラムさんはね、きっと今は幸せだと思うわ」


「……トレサ?」
 アーフェンが振り返る。こちらを見つめ返すトレサの瞳は、数日前までとは見違えるほど晴れやかで、澄んでいた。
「あたしもね、手記をノーアが受け取ってくれて……ノーアが自分で続きを書くって言ってくれた時、すごく嬉しかったの。だから、きっとグラムさんも同じだったと思うんだ」
 グラムの書いた手記が、商船船長レオンの手を経て、トレサに夢を与えた。きっと、死の門を超えたグラムにはその事も伝わっているはずだ──
「あたしも、グラムさんの手記を受け取って旅を始めたのよって、今伝えたからね」
「そんなこと報告してたのか」
「うん、ちゃんと言ってなかったから。きっと、喜んでくれてると思う」
「……だろうな」
「だからね、アーフェンのことも同じよ?」
 まだわからない?と言いたげに、トレサが笑う。
「あんたのことなんて、グラムさん、ばっちり手記に書いてくれてたじゃない。──“望外のお代だった”って」
「……!」


 ああ、そうだった。アーフェンは思い出した。
 黒き魂のあった場所に残されていたその言葉を読んで、心が震えたあの時の感覚を。
 ──俺の言葉が、あの人の旅の意味になっていた。そんな繋がりの尊さに、涙しそうになったことも。
 直後に起こったいろいろな出来事に、その時の感動はすぐ押し流されてしまったけれど。


「……そうだな。それに、グラムさんは薬師になったお前のこともちゃんと見てたはずだ」
 ハンイットが、ふっと笑って付け加えた。
「何しろ、わたしたちもグラムさんの姿を見たんだから。……きっと、お前のことも分かってくれていたよ」
「へっ……そうかな」
「そうよ!」
「……だといいな」
 アーフェンは目元を擦って俯いた。あの場所に残されていた手記は、死して尚消えない想いの証だ。その中に自分との時間をあんな風に記してくれていたというのは、確かに大きな慰めだった。
 だが──
「……でもよ、不思議なもんだよな」
「?」
「本当は俺たち、こんなこと知りながらこの大陸にはいねぇはずなんだぜ」


 フィニスの門。
 “終わり”の名を冠するその門は、聖火教で伝えられる死の門そのものであった。
 そして死の門を潜った者は、二度と帰ることは無い。
 薬師として、数々の現場に立ち会ってきたアーフェンは、そのことを身に染みて知っていた。だからこそ。


「本当は、俺たちはあの人たちの言葉なんか死ぬまで知るもんじゃねぇ。だけど、俺たちは“門”の向こうを見て、そんでも、帰ってきちまった。この世の決まりごとを無視してな」
「……ふっ、確かに。死の門の向こうで霊魂の手記を読んで、魔神を倒してきたなんて、師匠のどんな荒唐無稽な与太話よりも有り得ない話だ。……ところが、わたし達はその有り得ない話をやってのけてしまったわけだからな」
「大したもんだよなぁ? だからよ、余計不思議に思わずにはいられねぇのさ。どうして俺たちなんかが、そんなこと出来ちまったのかなって。何か意味でもあんじゃねえのか……ってな」


 死の門を巡る、ひとりの魔女の暗躍と、ひとりの薬師の旅路が、職業も年齢も違う八人の旅人を結びつけたように。
 死の門の向こうを見て尚、自分たちが生者としてここに立っていることが、この先何かを導くのではないか──そんな大いなる意志を思わずにはいられないのだ。


 それは推測とも言えない、想像や妄想の域を超えない話だった。けれどハンイットは目を細めて頷く。
「そうだな。……自然は意味の無いことをしない。だから、わたし達の運命にも、何か意味があるのかもしれない、と……わたしもそう思ってしまうな」
「ま、たとえそうでも、あたしのやることは変わらないけどね」
 一方で、トレサは腰に手を当てながら言った。
「先生だったら、まだまだ調べたいことがあるって興奮しそうだけど……あたしとしては、一旦は終わってることだし。運命がなんでも、これからも商人として大きくなるために頑張るだけだわ。二人だってそうでしょ?」
 トレサのあっけらかんとした言葉に、アーフェンとハンイットが揃って苦笑する。
「ふっ、その通りだな」
「違いねえ」
 確かに、自分たちにできること、やりたいことは今でも変わりはしないのだ。アーフェンは薬師として、ハンイットは狩人として、そしてトレサは商人として、それぞれの道を歩いていくだけ。
 二人の答えに、トレサはにやりと口の端に笑みを浮かべてみせた。
「へへん、やっぱりね。……じゃ、あたしはそろそろ行こうかな。集めたものが多くなってきたし、いったんリプルタイドに帰ることにするわ。二人は?」
「わたしも真っ直ぐ帰るつもりだよ。師匠に“赤目”のことも話しておきたいし」
「あぁ、そうだよな。きっと気になってるよな」
「アーフェンはどうする?」
「俺? ……そだな、しばらくはここにいるわ。前に診た患者の様子も見ときてぇし……その後はやっぱ、旅の薬師、続けんだろな」
「ふふ、そうか。アーフェンらしいな」
「“お代はいらねえ”はほどほどにしなさいよね!」
「う……そ、それはよぉ……!」
 あはは、とトレサの笑い声が響く。三人の間で、こんな晴れやかな声が聞けるのは久しぶりだった。


 ひとしきり笑ったあとで、アーフェンは墓標の前に一歩歩み寄った。そして、静かにこう告げる。
「……じゃ、行ってくるぜ、恩人さん。……また来るな」
 頭を軽く下げたアーフェンに倣って、トレサとハンイットも墓標に会釈した。最後の挨拶を済ませて、三人は墓標を後にする。
 先に立って崖を下りるアーフェンの背中を見て、トレサがふと思いついたように言った。
「そうだアーフェン。グラムさんの手記、もし読みたくなったらグランポートに行ってね。あたし、ノーアに言っておくから」
「へ? どうしたよ、急に」
「んー、なんとなく?」
 アーフェンが振り返ってみると、トレサは何か含みのあるような笑みをしている。なんとなくまだ気遣われているようで、まだまだだな、と密かに苦笑した。
「……分かった、思いついたら行くわ。ありがとな」
「どういたしまして! ちゃーんと言っておくからね、アーフェンて薬師のおじさんが来たら手記を見せてあげてって」
「誰がおじさんだよ!?」
 へへん、と笑ったトレサが駆け出し、アーフェンが憤慨してその後を追いかける。その後ろでハンイットが噴き出し、リンデが呆れたようにガウ、と鳴いた。
 こうして、彼らは賑やかに再び旅立っていく。



 赤茶けた崖の上、高く澄んだ空の下で。
 乾いた風に吹かれながら、墓標は静かに新たな旅立ちを見送っていた。
 彼らは“終わり”の門の向こうを越えた今も、彼らの思う通りに、それぞれの旅路を往こうとしているのだった。たとえ運命がどうであれ──。


 それでいい、と、墓標は花とともに微笑んだ。
 この先何処へ行き、何をして、誰と出会い、その中でどのような役割を果たしていくのか。
 それらをひとつひとつ決めていく彼らの自由な意志は、なにものにも侵すことが出来ないのだから。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
わたしはフィニスの門をくぐる前から赤目さんの正体はネタバレを踏んでしまっていたのですが(わたしが悪いんです、ゲームできてない時が寂しすぎてTwitter検索かけまくってたので)、門をくぐったあとに手記を読んだ時に、これって実は具体的にグラム=赤目とは言ってなくない……? と思ったのがこのお話を書こうと思った最初のきっかけでした。……わたしの読解力がポンコツなだけの可能性は大いにありますが。
それと、やはりこの事実を知ってしまった時のアーフェン、トレサ、ハンイットを思うとどうにもつらいので、わたしの中で彼らの気持ちを考えてみたいと思ったのが一番です。特にアーフェンはうちの主人公だったのでなおさら思い入れが強くなりました。
ちなみに、お話の中では赤目戦のパーティーがアーフェン、ハンイット、トレサ、オフィーリアになってますが(実は8人いる設定だけども)当時何も知らなかったわたしのプレイデータではアーフェン、ハンイット、プリムロゼ、トレサでした。3人ともおるやんけ……と天を仰いだのはついさっきの話です。
多分レベル調整とかでこの4人になったと思われますが、すごいことしてたなとしみじみしてしまいました。

なお、グレイサンド遺跡の書き置きは本当に読むことができます。わたしは某掲示板で見るまでまったく知りませんでした。
本当にノーヒントなので、最初に見つけた人はほんとすごいなと……ハンイット4章クリア後はいつでも読めたはずなので、もし知らなかった方がいらしたら、ぜひ読んでみてください。柱の断面です。

すっかり長々と書いてしまいました、すみません。
ここまでも読んでくださって、本当にありがとうございました。
pixiv公開: 2018/10/27